50%の発注者が理解していない意外な事実

業界知識

ネガティブなニュースが多い建築業界

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突然ですが、建築業界にどんなイメージを持っていますか?昨今の建築業界では、不正や隠ぺいが多発しマンションや住宅の欠陥が目立つようになりまた。それゆえ世の中にネガティブな印象が優先してしまうのが本音かもしれません。当たり前のことですが、多くの人が住み、活動するビルや住宅だからこそ、安心できる建物を作らなければなりません。旭化成建材の杭打ち問題や東京オリンピックデザイン案の白紙撤回などによって、業界全体の安心感と信頼は日に日に崩れ、不正や隠ぺいの影が潜んでいるとが明らかになりました。

客観的な立場で商業建築の現場を長年見てきたシェルフィーにとっては、テレビや新聞のニュースを鵜呑みにし、責任の所在を作り手側だけに限定することは、はたして本当に正しいかどうか疑問に感じています。商業的な建物を造る際、2人のプレイヤーが存在します。それは「発注者(店舗開発担当者や個人事業主など)」と「作る側(設計施工会社)」です。シェルフィーは両者の繋ぐマッチングサービスを提供している点で、その両者に同じ目線で立つことができます。だからそこ、問題の確信をしっかりと追求すべきだと感じています。

発注者と作り手はすれ違っている

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問題の本質を探るため、大手企業の店舗開発者や開業したい個人事業主計157名に対して「設計・施工会社への意識調査」を実施しました。、業種は飲食やアパレル、オフィスやクリニックなど多岐にわたります。その結果は以下の通りでした。

1:「過去に業者の不正・隠ぺいを発見したことがありますか」

A:27.8%の担当者が発見したことがあると回答

<理由>

・当初の図面から、店舗内装の仕上がりが大きくずれたものになっていた。(アパレル)

・建具の作り方に不正があった。水漏れがひどく後から調べると防水の工事がいい加減だったことがあった。元請けの問題ではなく、下請けがきっちりと仕事をしてなくて起こった問題がありました。(飲食店)

・本来なら10年持つ塗装が、業者の塗った塗料が良くないもので4~5年でダメになってしまうことがあった。(飲食店)

・見積もりのミスがあり、金額があがったことがあった。(飲食店)

工事費用は何百万、何千万とかけるものですから、この27.8%という数字は非常に問題だといえるでしょう。これだけ見たら作り手側に問題があるのだと思われるかもしれません。しかし以下の調査結果を見てください。

2:業者に仕事を依頼する際、必要な費用とかかる工期をどの程度理解していますか

A:46.2%の担当者が理解していないと回答

 

3:上記の質問で”理解していない”と答えた人に質問します。自分が理解していないと思うものを選択してください。

A:費用・工期どちらも理解していない担当者が51%。なお工期は33%で、費用は16%。

 

工事をする上で、もっとも基本的な情報である「工期」や「費用」を多くの依頼者は把握できていないという結果になりました。このことから、発注者側と作り手側の間に、情報の格差があることが分かります。言い換えれば発注者側は作り手側の事情や商習慣を全く考慮せずに任せきりにせざるを得ないのが現状なのです。

不正や隠ぺいは発注者側にも責任がある!?

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相手を知らないと、無知ゆえに無理な要望を求めがちになってしまうものです。特に工期の遅れやコスト削減に厳しい建築業界では、特にその傾向が強いといえます。そのせいで発注者側の作り手側への付き合い方に多々問題が含まれています。以下、その例をあげました。

■情報漏えいを恐れるあまり、受注できるか判断をするのに充分な情報を公開しない。そのため、作り手側は過去の図面などを入れないため詳細な見積もりが提示できない。

■スケジュール、支払い条件やトラブル時の責任の所在がふわっとしたまま進めてしまう。東京オリンピックの建設問題が分かりやすい例です。

■大きな企業になればなるほど意思決定者が多いゆえに、伝言漏れや勘違いが頻発する。

■知識がないがゆえに、無理なスケジュールや追加工事の要求をしてしまう。しかし工期やコストなどの結果に対しては非常に厳しい。

 

こうなると作り手側の対応として以下のような対応をとらざるを得ません。

■上記のリスクヘッジのために利益率を多くとらなければならない。どんな理由があろうと後から値段をあげることを許さない業界慣習がそうさせています。

■作り手の情報や評価が公開されている場所がないため、いい加減な仕事をしてもその悪評は広まらない。またいい仕事をしても、悪い仕事をしても受注単価は同じ。

■工期やコストをなんとかして抑えなければならないため、ずさんな工事が生じてしまう。

やはりこの問題は作り手側だけの問題ではなく、発注者側にも問題があると言えるのではないでしょうか。そして発注者は作り手側のへの付き合い方を改めない限り、不正や隠ぺいは何度も引き起こされるでしょう。発注者側の問題が多くあります。発注者がトラブルの種を撒き、作り手側に連鎖している構造になっています。もちろん建築業界の体質を改善するべき点は多々あります。しかし発注者側もそういったトラブルのもとを生み出しているということも忘れてはいけないのです。

信頼回復への道しるべとは

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「発注者側も建築業界の問題に拍車をかけている」という問題は商業建築だけで起きていることではなく、住宅・土木でも同じようなことが日々繰り返されています。

この問題を解決するには、まず建築業界に対する「リスペクト」や「関心」を持つことが重要だとシェルフィーは考えます。これまで発注者はそういったことに注意を払わなかったために、業界構造にまで発展しているからです。発注者はわからないから、無理な要望をいってしまう。作り手は無茶をいわれるから、不正や隠ぺいでごまかしてしまう。この不正の種となる、業界構造そのものをなんとかしなくてはいけません。

そこで、シェルフィーはこの業界構造を変えるべく、創業当時から業界の透明化と発注者への教育を大切にしてきました。現在の建築業界での商業分野は、2020年の東京五輪に向けて大いに盛り上がっており、付随してくるのは商業施設やオフィス、宿泊施設、公共施設などです。さらなる需要伸びが予想される中で、今後間違いなく信頼の有無が試されます。私たちシェルフィーも、信頼回復の担い手として、発注者側と作り手側の両者に対して安心感と信頼を生み出していきます。

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