BtoC→BtoBを経て感じた、toBのプロダクトをつくるうえで意識すべき5つのこと

シェルフィーでプロダクトマネージャーをしている緒方です。

私は前職ではtoCサービスの開発に携わっていましたが、シェルフィーでtoBのサービス開発を始めてからは、同じサービス開発においてもそれまでと異なる点を多々感じるようになりました。ここでは私がtoBのプロダクトを作る上で意識すべきだと思った5つのポイントをまとめてみました。

そもそもどんなプロダクトを作っているのか

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シェルフィーにおけるプロダクトって実際になにをつくってるの?という話ですが、端的にいうと「内装工事プロセスの効率化ツール」を作っています。

店舗の内装を完成させるためには、店舗のオーナーであるクライアント、内装デザインや図面をつくる設計士(デザイナー)、その図面を元に工事を管理する施工会社、ガス・電気・水道など実際に施工を行う専門工事業者などたくさんのステークホルダーがおり、そのやり取りは非常に煩雑になりがちです。さらに建築業界はまだまだITがまだまだ浸透しておらず、見積りがFAXで送られるようなことも日常茶飯事です。

そんな状況を少しでも改善していくためにメッセージのやり取りやファイル管理、スケジュール、タスクの管理などをweb上で一括で行うツールを開発し、クライアントと施工会社の契約、そして竣工までをサポートしています。

基本的にはシェルフィーを通した内装プロジェクトをツールで進めているので広く一般に公開するようなプロダクトではありませんが、最近ではフロントエンドのフレームワークなど新しい技術も取り入れながら開発を進めています。

toCからtoBプロダクトに変わって苦労した5つのポイント

ユーザーファーストなどのプロダクトを作る際の前提はtoCもtoBも大きく変わることはないかと思います。しかし、その言葉ひとつとっても同じように考えていたのでは良いプロダクトは作れません。toCからtoBにプロダクトが変わって苦労したのは以下の5つのポイントです。

1, ターゲットとする業界への深い理解

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まずはプロダクトを提供する業界への深い理解です。そもそもなぜそのプロダクトを作る必要があるのかという業界の課題や、ではその問題がなぜ解決されないのか、そしてそのためにどういったアプローチが必要となるのかを理解する必要があります。toBサービスの場合、その業界の経験がなければそもそも実際の業務で何が行われているのか、誰が関わってくるのか、業界ならではの特徴はなにか、といった前提としての理解がそもそもありません。業界についてより深く把握すればするほどプロダクトで解決できる課題もより具体性をもって語ることができるはずです。

私も建築業界は素人同然でした。もともとデザインは好きだったので、レストランやカフェ、ホテルなどの格好いい内装を見ては「デザイナーって凄いな」と思う程度で、それがどのように作られるのか知る由もありませんでした。しかし今では、一つの内装を完成させるまでに関わる人、工期、順序、コンペ、工事の種類、設計施工会社ごとの特徴、発生しがちなトラブルなどなど、業務に関わって多くの話を聞いていくうちに業界の輪郭が見えてくるようになりました。シェルフィーでは業界の理解のために、開発チームでも営業やコンペの場に同行することもあります。

2, ユーザーの理解

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業界の理解に合わせて、実際にプロダクトを使ってくれるユーザーを理解するということも非常に重要です。

契約するのは法人とはいえ、実際に使うのはもちろんその会社の人です。toCのプロダクトであれば普段から自分がユーザーとして使うことができたり、家族や友人知人に使ってもらったりできますが、toBのプロダクトはユーザーとなる対象の人がそもそも身の回りにいなかったり、なかなか日常生活のなかで彼らの話を聞く機会もありません。そうなると実際にどのような場で自分が開発しているプロダクトが使われるのかを想像するのは簡単ではありません。

ユーザーは日々何を考えて業務を行っているのか、会社の組織構造はどうなっていて誰が決定権を持っているのか、朝起きてからどのタイミングでプロダクトに触れるのか、会社ではどのようなことに時間を使っているのか、使っているデバイスはどのタイプが多いかなど、会社でパソコンに向き合っているだけでは見えてこないユーザーの特徴がたくさんあるはずです。

建築業界でいえば、業界全体の高齢化が進んでおり私は漠然とユーザーとなる人達はITに疎いというような固定概念がありました。しかし蓋を開けてみると、多くの人はiPhoneを使い、LINEで仕事内容の共有を行い、そしてiPadで図面を確認したりなど、想像以上にスマホを使いこなしているのです。また、朝から現場に出ずっぱりで一日に一度もパソコンを開かないこともあるなど、生活スタイルに大きな違いがあることもわかりました。これを受け、当初はWebメインですすめていた開発でしたが、モバイル開発の優先度をあげいち早く業務の中で使えるようにしていきました。

こういったユーザーの理解を深めるために、シェルフィーではユーザーヒアリングの機会を設けています。ある仮説をもって新機能を開発するとき、リリースして使い物にならなかったら意味がありません。そういった状況を防ぐために、ヒアリングさせていただいたり、テストユーザーになっていただいたりと日頃から協力していただいている会社の皆様には本当にお世話になっています。

3, ユーザーとなる会社との関係づくり

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ユーザーとなる会社との関係づくりは非常に重要です。ユーザーヒアリングひとつとってみても、toCとtoBのサービスではインセンティブの考え方や、相手の時間を頂戴する意味も大きく異なります。しかし、日頃から業務で関わりのある会社と良好な関係を築くことができれば、さまざまな点でサービス改善の助けになってくれるのも事実です。

シェルフィーでは「建築業界に健全な競争環境をつくり、利用者の納得感を生み出す」というミッションのもとサービス開発を行っています。そしてこのミッションと私達の思いをユーザーとなる会社にもしっかりと説明し、共感してもらった上で協力をお願いしています。プロダクトを提供する業界に対して素人であっても、相手に対する尊敬の念と業界への理解をしっかりと持てば、協力に応じてくれる会社は絶対にいるはずです。

私達は建築業界にサービスを提供していますが、クライアントや設計施工会社からすれば「第三者」という立場になるかと思います。彼らがつくり上げるデザインや内装はもちろん素晴らしく、そこは私達が意見を述べるポイントではありません。ITの専門家として、どうすれば業界のためになるかを考え彼らと接することが重要だと考えています。

4, ユーザーの意見を真に受けない

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前述のユーザーヒアリングの結果、サービスに対するさまざまフィードバックをいただきます。会社ごとに業務の内容や範囲も異なるため、その内容も非常に多岐に渡ります。

例えば、「ここにも同じ機能のボタンがほしい」「メッセージ機能にLINEのようなノート機能がほしい」「閲覧権限の設定がほしい」など、もちろんそれはそれで非常にありがたいのですが、そのフィードバックを意のままにプロダクトに反映してしまっては、利便性という名のもとに機能が増えすぎてしまった十徳ナイフのようなプロダクトになりかねません。これはtoCのサービスにおいてもいえることでしょう。

しかしtoBの場合、誤解を恐れずにいえばユーザーはこれまでの業界習慣や特有の固定観念のようなものを少なからず持っています。私達はその言葉の裏にあるユーザーの意図を考え、業界の事情を鑑みた上で機能としては何を実装すべきなのかを入念に検討すべきです。

また、toBの場合はヒアリングやフィードバックの母数を増やすのがtoCほど簡単ではありません。そのため、特に開発初期段階ではユーザーの意見が定性的なものになりがちです。

そのため、ヒアリングやフィードバックは欲しい機能そのものや満足度を直接把握する機会ではなく、ユーザーの気持ちや視点をどれだけ理解することができるのかという点に重きを置くことが重要だと考えています。

5, ビジネスサイドから意見を吸い上げる仕組みづくり

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シェルフィーにはクライアントや施工会社に向けたセールスと、プロジェクトをサポートするコンサルタントのような役割をするクオリティマネジメントという部署があります。主にこれらのチームがクライアントや設計、施工会社とのやり取りを頻繁に行い、各プロジェクトを進めています。

これはtoBのサービスにおける大きな特徴です。実際に顔合わせを行ったり、会社に訪問したりするビジネスサイドは、業務上の些細な悩みやユーザーのニーズを吸い上げるのには最適な手段の一つでしょう。

プロダクトの改善を進めるために、ビジネスサイドが感じたさまざまな改善提案をgithubのissueを通して上げてもらいます。特に上げるissueに制限は設けず、ユーザーから聞いたフィードバックや、自分が使っていて感じた不便な点など、大小を問わず上げてもらいます。そこから開発状況を鑑みて取捨選択と優先順位づけを行い、プロダクトに反映していきます。

おわりに

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toBのプロダクトはtoCのような派手さや爆発力はありませんが、その業界における課題を一つひとつ紐解いていくパズルのような面白さがあります。特にシェルフィーがターゲットとしている建築業界ではまだまだITの浸透が浅く、次から次へと大小様々な課題が現れます。それをプロダクトでいかに解決していくのか、どのように業界に貢献していくのか、そしてどのようなインパクトを与えたいのか。それを成し遂げ業界の様子が大きく変わった時の状況を想像しながらをプロダクトを作る面白さがtoBにはあると思います。

シェルフィーでは現在プロダクトを一緒に作っていくデザイナー、エンジニアを募集しています。ワイワイガヤガヤ開発してるのでぜひ気軽に遊びに来てください!